size:250 x 310mm
hardcover
232 pages
アメリカ人アーティスト、リチャード・セラ(Richard Serra)の作品集。2011年4月から8月までメトロポリタン美術館、2011年11月から2012年1月までサンフランシスコ近代美術館(SFMoMA)で開催された展覧会に伴い刊行された。
作者の彫刻は、数々の重要な展覧会で展示の目玉となり、世界的に高い評価を得てきた。しかし、厳格な知性に裏付けられた巨大な彫刻作品に感銘を受けた者でも、作者のドローイングが彫刻と同じくらい魅力溢れるものであることはあまり知らないのではないだろうか。ドローイング作品をまとめた最初の一冊である本書は、先駆的な彫刻作品から独立していると同時に連動している表現手段として、作者のドローイングが進化した過程を考察する。
作者は元々インクや木炭、リトグラフクレヨンで描いたドローイングを彫刻と鑑賞者との間のかたちや知覚の関係性を探求する手段として用いていた。時が経つにつれてそのドローイングはコンセプト、素材、スケールの点で大きく変化し、作者の世界観を体現した自律的な作品に成長していった。大規模なインスタレーション作品である「Installation Drawings」では、ペイントスティックで描いた堂々とした大胆な形が既存の空間を破壊し補完し、最後には空間全体を支配するように計算されていた。1980年代後半になると作者は色を塗り重ねることによって重さや重力の緊張関係を表現するようになる。表面的な効果に着目した近年の作品では、メッシュスクリーンを媒介として使用し、描く手の動きを紙の上の塗料に変換している。
ロサンゼルスを拠点に活動する映像作家、ライターのリジー・ボーデン(Lizzie Borden)、ニューヨーク、メトロポリタン美術館の近現代美術部門特別コンサルタントのマグダレーナ・ダブロウスキー(Magdalena Dabrowski)、サンフランシスコ近代美術館の絵画、彫刻部門エリス・S・ハース・シニアキュレーターのゲイリー・ガレル(Gary Garrels)、メニル・ドローイングインスティテュート&スタディセンターのチーフキュレーターであるバーニス・ローズ(Bernice Rose)、テキサス大学オースティン校芸術部門エフィ・マリー・ケイン理事長でモダニズム研究センター主宰のリチャード・シフ(Richard Shiff)、メニル・コレクションのアソシエートキュレーターのミッシェル・ホワイト(Michelle White )による共著。