size:225 x 265mm
hardcover
144 pages
イギリス人写真家であり、ロンドンを拠点とする出版社兼書店「IDEA」の創設者の一人であるアンジェラ・ヒル(Angela Hill)の作品集。本作は、シルヴィア・マン(Sylvia Mann)という女の子が子どもから若い女性へと成長する過程を記録した1冊。シルヴィア・マンという被写体とアンジェラ・ヒルという写真家が登場する、シンプルさを追求した一作である。この写真は、90年代後半から2000年代初頭にかけて、ファッション&カルチャー誌『EXIT』、『Purple』、『Dazed』などのファッション写真として撮影されたものであるが、本作を見てもファッションはまず浮かばない。作者がシルヴィアに初めて出会った時、彼女はたった11歳であった。本書は、彼女が18歳になるまでを記録しており、結果仕上がった本作はドキュメンタリー写真であり、ある一人の世界観を写し出したものとなっている。
本書には、作者の友人であるイギリス人写真家のナディア・リー・コーエン(Nadia Lee Cohen)による序文が掲載されている。
「アンジェラ・ヒルはパンクな格好はしないけど、パンクのように写真を撮っている。彼女の撮影チームは存在せず、メイクアップも照明もスタイリングも、通常の道具は一切なし。アンジェラはただカメラを持って現れ、帽子をかぶり、ジーンズを履き、エルメスの何かを肩に掛けているのだろう。恐らく、ウェイトローズ(イギリスのスーパーマーケット)のビニール袋に入った大量のフィルムとティーバッグも持っていることだろう(これは事実かどうかわかりませんが)。とにかく、私が言いたいのは、アンジェラ・ヒルはあまり計画的ではないということで、私にとってこのことは不思議な妖精のようで、永遠にうらやましいことなのです。」
シルヴィア自身も、外観と行動の両方において魅力的な性質を持っている。
本作は、作者がファッションとドキュメンタリー写真を繊細に行き来する姿を伺うことができる。シルヴィアの子ども時代の家で撮影された写真や、彼女の寝室の静物画も収録されており、照明やカラーパレットはシルヴィア自身のものである。彼女はこうして、ここで育った。
「私が初めてシルヴィアに会ったとき、彼女は母親と一緒に『プー棒投げ(Pooh Sticks / 註)』で遊んだ話をしていました。このシリーズの最後の写真を撮りに来たとき、彼女は丸刈りに複数のピアスをつけたクールな女子大生になっていました。10代は子どもとして始まり、やがて子どもを産める女性として終わるのです。」-アンジェラ・ヒル
註:イギリス人作家A.A.ミルン(A. A. Milne)による児童小説『くまのプーさん』の続編『プー横丁にたった家』に登場する、主人公のプーが発明した棒切れを使った遊び。橋の上に複数人で立ち、川上側から一斉に小枝を投げ入れて、橋の反対側(川下側)で一番先に自分の枝が現れた人を勝ちとするゲーム。
※こちらは輸送の関係上、多少の傷、汚れが見受けられます。